サイダーハウス・ルール | |
THE CIDER HOUSE RULES(原題) | |
監督/ラッセ・ハルストレム | |
出演/トビー・マグワイア、マイケル・ケイン、シャーリーズ・セロン、キーラン・カルキン他 | |
HP http://www.asmik-ace.com/Cider/index.html |
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製作国/アメリカ | |
公開/2000.7.1 |
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評価 | ★★★★★ |
ラッセ・ハルストレム監督の名作。ラッセ作品の中で一番好きです。
この「りんご園のルール」はりんご園で働く黒人に白人が決めたルールのことだけれど、決まりとはそこに住んでる人たちが本来は作りだすもので住んでもいない奴が規則を考えるのか、といったもの。私はなんでこの作品が「りんご園のルール」であるかずっとハテナだったんだけど、孤児院においてもりんご園においても人生においても、人が定めたルールに縛られるんじゃなくて時にはそれを破っていく、それを決めるのはその状況に置かれている人たちであり自分であるのだ、ってことだと思いました。意味をはきちがえてたらごめんなさい。誰にあやまってるかっていったら原作&脚本のジョン・アーヴィング氏に(笑)。でもりんご園のリーダーが破り捨てて「ルールを決めるのはオレたちだ」といっているのでそうじゃないかと。
どうもりんご園のホーマー(トビー・マグワイア)より孤児院のホーマーのイメージが強すぎてりんご園のルールかぁ―・・・、と思ったりシマス。なんせはじめと最後をぐるぐる観ててホーマーをサイダーハウスにやりたくないような見方してるから(笑)。
トビー・マグワイア、マイケル・ケイン、シャーリーズ・セロンと見事なキャスティング。トビーはホーマー役が最高!!肉体改造前だしな。(←うっさい)個人的に良かったのがバスター(キーラン・カルキン)!!ホーマーがいなくなることの不安さや切なさの表現が見事でした。
ラーチ先生といい、バスターといい、メアリーといい本当に心の底からホーマーにでていってほしくない!!という強い想いの人たちが彼を見送れなかったのが印象的。サイダーハウス・ルールをほんのちょっぴり思い出すだけで泣けます。ラッセは子どもがストーリーに絡む映画をとらせたらピカイチですよね?そしてまたストーリーとマッチした音楽が・・・!!あの曲聴くだけで涙がでてくるし一生聴いていたいほど大好き。どこか切ないけど静かな希望に満ちていて、もう全てが!曲の全てが愛しい!!
オープニングの、銀世界の中汽車が汽笛を鳴らしながら入ってくるシーンとメインテーマが合いすぎてて、秀逸。
ギルバート・グレイプでも書いたけど、この作品はギルバートと対になってると思う。
外に出ようとして押しとどまったギルバートと、外の世界へ飛び出したホーマー。どっちも観たら彼らの選択肢の違いがわかるかも。
ホーマーの年代で孤児院からでられないっていうのがまた外の世界への魅力を感じさせ押さえきれなくなって孤児院をでていったのは誰もがよくわかる。20歳くらいだよね?よくここまでこらえてきたなーって思う。冒頭で言ってた我慢強い子だからかな。彼は外にでてたくさんのことを得たけど大切なものを失った。せっかくこれからなすべきことがわかったのに→反転!ラーチ先生という育ての親が亡くなってからってのがすごい泣けた。初めて観たときは「え、ハッピーエンドじゃないの!?どうして!!?」とやりきれなかったです。
ホーマーがいなくなってからの孤児院はバスターがホーマーの役割をこなして責任の重みに帰ってくるまで耐え切れるといいな、と思いながらハラハラしたり。そして将来はバスターやメアリー等もらわれなかった子どもがホーマーのような経験を積んでいくのかな。そのとき彼らが取る選択肢は―・・・とか気になりますね。
この作品は終わり方がすごく良くて、バスターたち孤児院がホーマーがラーチ先生の後を継いだことに幸せを感じながら眠りにつくところに私はめいっぱいの幸福感を得ました。「おやすみメーンの王子、ニューイングランドの王」は名言。これらをラストでホーマーが言ってくれたのが嬉しくて×2!!
ラーチ先生の「ホーマーを戦地へ送ったら自分の心臓こそ耐えられない」も書くまでもないけどきましたねーかなり。
サイダーハウスルールは泣ける台詞の宝庫ですね。
(2004.4.6)